Anders Thulin

Head of the Institute of Design and Visual Interaction, Royal Danish Academy

Anders Thulin

Talk

TABULA RASA - A deliberate reset

タブラ・ラサ——意図的なリセット

デザイナーになることが、モノを“より良く”する方法を学ぶことからではなく、“より良い”とは何かを問うことから始まるとしたら? 私たちのツールはかつてない速さで答えを出すが、“より良い”は決して中立ではない。そこには、何が大切で、誰のためなのかという前提が必ず含まれている。タブラ・ラサとは、書き直すために削って平らにした古代ローマの蝋板のこと。王立デンマーク・アカデミーでは、ビジュアルデザインとインタラクションを学ぶ学生がここから学びを始める。何かをデザインする前に、身の回りの世界がすでにどうデザインされているかを観察し、そこから一歩離れ、自分が何のためにデザインする価値があると信じるのかを問う。そして数か月後、その答えに立ち返り、何が変わり何が残ったのかを確かめる。Anders はこの試みをもとに、方法論だけでは得られない判断力をデザイナーがどう育むのかを問い、すべてのデザイナーがときに白紙に立ち返ることの意味を語る。

Profile

Anders Thulin はコペンハーゲンの王立デンマーク・アカデミーで Institute of Design and Visual Interaction の所長を務め、ビジュアルデザイン、インタラクション、メディア領域の教育と研究を率いる。建築家・デザイナーとして教育を受け、それ以前は10年以上にわたりデンマーク放送協会(DR)のヘッド・オブ・デザインとして、メディアプラットフォームや文化機関、公共サービス向けの大規模なデザインシステムを構築した。デンマーク・デザイン評議会のメンバー、Danish Design Award 2026 の審査員、European Design Awards 2026 の審査委員長、イェール大学 Life Worth Living ネットワークのフェローでもある。AI と摩擦のないシステムが形づくる時代に、デザイナーがいかに意味のある抵抗、新たな注意、より人間的な進歩のかたちを生み出せるかを探求している。